〈プロローグ〉連載のはじめに ~森下元康の活動論とは

「文化活動に情熱を懸ける世界の仲間たちへ」

 『(公社)日本アマチュアオーケストラ連盟(略称:JAO)』、および『世界アマチュアオーケストラ連盟(略称:WAFO)』の創設者である森下元康は、日本の地方都市で中学校の国語教師を生業(なりわい)としながら、生涯にわたりアマチュアオーケストラの現場でひたむきに活動を続け、2010年に永逝しました。
 中学校のクラブ活動で編成したリード合奏団を足がかりに市民オーケストラを結成し、日本全国、そして世界のアマチュアオーケストラの交流にまで幅広く活動を展開した森下ですが、その稀有な点は、活動に伴い多くの著述を書き残してきたことです。それは正解や方程式のない活動の中で、アマチュアオーケストラの存在意義や方向性を模索し続けた、深い自問自答と祈りの痕跡でした。
 森下の思索は、アマチュアオーケストラ活動の規範を問うものであり、それは生きること、生活するということの中にある文化の本質に深く根ざしています。アマチュアオーケストラ活動の現状と方向性を検証するひとつの基軸として、NPO-WFAOのウェブサイトで「森下元康の活動論」の連載を始めたいと思います。
 この活動論が日本国内のみならず、情熱的にアマチュアオーケストラ活動に邁進している世界の仲間たちにとっても、一条の光彩となることを切に願っています。