「第40回トヨタ青少年オーケストラキャンプ」開催レポート〈JAO主催事業〉

2024年3月27日(水)~3月30日(土)
日本/島根県民会館(島根県松江市)

〈指揮〉
 現田茂夫(神奈川フィルハーモニー管弦楽団 名誉指揮者)
〈演奏曲目〉
 ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
 尾高尚忠:フルート協奏曲イ長調(独奏:上野星矢)
 ショスタコーヴィチ:交響曲第5番「革命」
 シベリウス:フィンランディア(アンコール)

 「第40回トヨタ青少年オーケストラキャンプ(略称:TYOC)」が、島根県松江市で開催され、NPO-WFAOは協力団体として海外参加者の招聘などをお手伝いさせていただきました。
 コロナ禍を乗り越え、6年ぶりに開かれたこの記念すべき演奏会には、初めてベルギーからの参加となったメンバーを含め、12名の海外参加者が加わりました。会場となった島根県民会館では素晴らしい演奏が繰り広げられ、聴衆の心を揺さぶりました。
この演奏会は、TYOCの未来への新たな一歩となり、国内外の若い音楽家たちが共に奏でる喜びと絆を深める場となりました。
 今後のTYOCの活動と、さらに広がる国際交流に期待が高まります。

 6年ぶりの記念演奏会となった今回のTYOCでは「Re-Tutti」というテーマが掲げられました。「仲間と合奏できる瞬間を全力で楽しむ」「コロナが落ち着き、再び音楽ができることの幸せをかみしめる」という意味が込められ、海外からは韓国・台湾・シンガポール・フィリピン・ベルギーから12名が参加しました。
 参加者たちは、これまでのキャンプがどのようなものだったのか、またTYOCの音色がどのようなものだったのか、お互いに手探りの状態でのスタートとなりました。今回初めてベルギー(VLAMO)から参加したメンバーも、最初は不安を抱えながらキャンプに臨みました。

 初日の練習が終わった後、メンバーは「先生の指導に対する通訳やフォローが少なく、何を言っているのか理解できない」と不安を口にしました。お互いにまだ打ち解けることができず、コミュニケーションが不足していました。しかし時間が経つにつれて、参加者同士が徐々に打ち解け始め、海外からの参加者の不安も次第に解消されていきました。またお互いの理解も深まり、コミュニケーションが円滑になるにつれて演奏も次第に良くなり、全く違うオーケストラのような音色がホールに響いていたのが印象的でした。

 3日間のリハーサルを経て、本番の日をを迎えました。ショスタコーヴィチの「革命」の演奏は、これまでのTYOCの苦難を乗り越える象徴であり、これからのTYOCの素晴らしい未来を予感させるものとなりました。演奏が終わると、ホールには感動の余韻が残り、拍手が鳴りやみませんでした。涙を流しながらも、再会を約束し合う姿は、国境を越えた友情と音楽の力を象徴していました。彼らの心には、未来への希望と新たな挑戦への意欲が宿り、TYOCの更なる飛躍を確信させるものでした。

 40周年のTYOCは無事に終了しましたが、これからどのように青少年との輪を広げていくかを考えることが重要です。テレワークの普及に伴い、コミュニケーションの在り方や考え方も変わってきています。時代の変化に柔軟に対応しながら、未来のTYOCを形作っていくことが求められています。
 一方でこの記念すべき演奏会を通じて、私たちは同じ時間・空間で音楽を共有することの素晴らしさを再確認しました。これからも、TYOCが若者たちの音楽を通じた交流の場として成長し続けることを願っています。音楽の力で世界中の青少年がつながり、共に成長していく未来を見据えながら、新しい形の国際交流とコミュニケーションを築いていきたいと考えています。

※ベルギーからの参加者がレポートを寄せてくれたので、PDFファイルで掲載します。

40tyoc_belgium_jaのサムネイル

ベルギーからの参加レポート(PDF:864KB)

※TYOCは今回で40周年を迎え、後日「記念フォーラム」が東京で開催されました。フォーラムの様子がYouTubeに2部構成でアップされていますので、ぜひご視聴ください。
 ◆Part1:第40回TYOC記録映像・記念演奏
 ◆Part2:フォーラム トークセッション